新銀座法律事務所 法律相談事例集データベース
No.75、2004/7/30 20:15

[民事・登記]
質問:ヤミ金からお金を借りるときに、家の権利証と印鑑証明書、実印を押印した委任状を担保に取られてしまいました。

回答:
1、名義変更登記(以下「所有権移転登記」と言います。)に使用する印鑑証明書の有効期限は発行日から3ヶ月間ですので、この間はいつでも名義変更されてしまう危険があります。防止する手段として、原則としては、その不動産を管轄する法務局に事情を届けて、登記官の持つ形式的審査権の範囲内で申請された登記の却下事由の可能性を探ってもらうという方法が考えられます。また、弁護士に依頼し、代理人として交渉して貰い、利息制限法や出資法に違反する利息の無効を主張し、元金を返還して担保の返還を求めることができます。

2、その他の手段として、親族に協力して貰い、親族の誰かに対する所有権移転請求権仮登記(いわゆる2号仮登記)を入れて、ヤミ金業者に対して内容証明郵便で「代理権は与えておりませんので登記申請はしないで下さい」という旨の通知を送る方法も考えられます。ヤミ金業者の所有権移転登記より先にこの仮登記を入れておけば、その後にやみ金業者が所有権移転登記を申請し、その名義を取得したとしても、後日仮登記の本登記を申請することによって、そのやみ金業者への所有権移転登記を抹消することができます。(但し、親族の方に第三者に処分されてしまうことがないよう、ご信頼のできる方にお願いする必要があります。)ヤミ金より先に仮登記が入った場合は、ヤミ金との交渉により担保書類の返還を求めやすくなると思われます。

3、但し、所有権移転請求権仮登記を申請する際には固定資産評価額の0.5%(平成16年7月現在)の登録免許税が必要ですし、本登記を申請する際にも、同じく0.5%(平成16年7月現在)の登録免許税がかかります。また、本登記申請の際には、ヤミ金業者の承諾書(ヤミ金業者名義の登記を抹消することについての承諾)を添付しなければなりません。この承諾書にはヤミ金業者の実印を押印し、印鑑証明書を添付する必要があります。この承諾書が得られない場合には、裁判により承諾を求める判決を得る必要があります。ただし、この方法によって本当に親族に所有権移転登記を行うと、不動産取得税、贈与税、譲渡所得税等がかかる可能性について注意が必要になります。また、ヤミ金業者や第三者への所有権移転登記が先に行われてしまった場合には、その登記自体の無効を裁判上で争う余地もありますが、必要書類を相手が持っていますので、難しい裁判になります。まずは、お近くの弁護士、司法書士にご相談ください。

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